29番札所:護国院(通称:厄除不動尊)

29番札所:護国院(通称:厄除不動尊)

ご詠歌

五大尊 怒涛逆巻く 荒波に 迷う我が身を 救い給えや

宗旨
真言宗智山派
御本尊
五大明王
寺宝
天国宝剣 (光巌帝より拝領) / 光明帝御院宣 / 桃山期作香炉 / 足利尊氏御教書  鎌倉期造立板碑
住所
〒314-0031
茨城県鹿嶋市宮中2丁目6-13

美景の寺に寄せる厚い信仰心

大洗より鹿島灘沿いに南下すること約40キロ。古くより武神として、東国一帯の信仰をあつめている鹿島神宮の町、鹿嶋市へ入る。  この神宮の広大な神域には松や杉等の大樹が生い茂り、ひっそりとしたその様子は荘巌の一語に尽きる。

かつて関東武士が九州へ防人として旅立つ折は、必ずこの神宮に参拝し、武運を祈願したという。(鹿島立ち)

北関東三十六不動尊霊場第二十九番札所・降魔山護国院経音寺は、その鹿島神宮入口から歩いてわずか五分の所に位置する名刹である。
山門より玉砂利を敷き詰めた境内を見渡すと、正面に華麗な威容を見せる本堂、その左手に小作りながら穏やかな美しさに満ちた大師堂が佇む。

この本堂には、通称厄除不動尊をはじめとする五大明王が安置され異彩を放っている。五大明王とは不動明王のほか、降三世、軍荼利、大威徳、金剛夜叉の五大尊のことで、こ れらが威風堂々立ち並ぶ様はまことに壮観である。

29番札所:護国院(通称:厄除不動尊)

歴史に目を転ずると、護国院の由緒も壮大なことが解る。
元明天皇の和銅二年(709)が開基とされるから、実に千三百有余年もの寺歴という事になる。当初は鹿島神宮境内にあった。
後に足利尊氏の信仰を受けて国家安全の護摩祈祷を修し、通称護摩堂と呼ばれる様になり、延宝五年(1677)現在地・宮中に移る。
又、この地方は大師信仰の盛んな所で、毎年4月1日から15日まで大師尊巡錫が行われているが、これは実に江戸時代から連綿と続けられている行事だそうだ。

かつては陸の孤島とまで表現された鹿島郡も、道路・橋梁の整備ですっかりその印象を拭い去った。
護国院からは、先に述べた鹿島神宮の他にも、水郷潮来や香取神宮など簡単に行ける観光地が多い。巡礼の旅の折りに訪れるのもよい。

元来、この鹿島地方は穏やかな気候風土で知られた土地。護国院の堂宇はそういった背景を反映して、あくまで柔和な表情で我々を迎えてくれる。

北関東三十六不動尊霊場はすべて東密と呼ばれる真言宗か台密と呼ばれる天台宗のお寺です。
これら密教では大日如来を教主としていますが、実はこの大日如来こそ、お不動さんに悪を滅ぼす様命を下された仏様なのです。