7番札所:長安寺(通称:みかえり不動)

7番札所:長安寺(通称:みかえり不動)

ご詠歌

みかえりて つみとがはらう 威音王 佐波路にたかき みすくいの寺

宗旨
天台宗
御本尊
釈迦牟尼如来(胎蔵界)
寺宝
みかえり不動(威音王堂本尊) / 石仏・元薬師如来
住所
〒379-2224
群馬県伊勢崎市西小保方町304-1

おごそかな鐘が佐波路に響く

上州・佐波路に入ると、平坦地に桑がたくさん栽培されているのが目につく。
群馬県は全国でも有数の絹糸の産地で、桑の生産量では第一位。 その意味で、長安寺のある旧東村近辺は典型的な上州の地といえよう。
真光山永照院長安寺は、その旧東村の最も伊勢崎よりの場所に静かに端座している。(現在は伊勢崎市)

山門より境内をながめると、正面に本堂、左手奥に威音王堂、その手前にみかえり堂と、木造建築の粋を凝らした堂宇が建ち並ぶ。 その有様は華麗にして荘厳、心静かな空気があたりを支配する。

後深草天皇の正嘉元年(1257)鎌倉大地震が起こり、続く正元年中(1259)の大飢饉とをあわせ、佐波の領民は瀕死の状況にあった。 文応元年(1260)亮海上人は釈迦牟尼の宣告をうけてこの地に草庵を結び、ひたすら本尊に村民の救済加護を祈願した。 すると、たちまちにして飢餓・病魔等を退散させることができたという。 長安寺の由来はこのとおりだが、今も「長安寺のなさけの釈迦」として口伝されている。

この本尊釈迦牟尼如来が安置されるのが、大雄心殿と呼ばれる本堂。
この堂宇は、昭和57年に改築した建物だが、華やかさを控えた情感あふれるものといえる。

7番札所:長安寺(通称:みかえり不動)

さて、長安寺のお不動様だが、俗にみかえり不動と呼ばれ、室町初期よりこの寺院に伝わるものである。  煩悩や障害を焼き払い、悪魔を降伏して祈る人を擁護するといわれるこの不動明王は、威音王堂に安置され、深い信仰を集めている。 威音王堂はこの寺院の護摩道場で、間口7.87メートル、宝形で代表的な天台様式の堂宇。その姿はたおやかな優美さに満ちている。

これらの建物のすばらしさは、我々巡礼に心地良い緊張感を与えるが、それを暫時なごませてくれるものが長安寺にはある。
凝灰岩による三体の石仏で、真光山の元薬師と呼ばれるものがそれで、亮海上人が草庵を結んだ時すでに造立されていたとされるから、 少なくとも700年以上はたっている筈だ。
長い風雪に耐えてこられたためお姿も判然とはしないが、かえってほのぼのとした味わいが、この一尺あまりの石仏からは伝わってくるのだ。

藤棚をはじめ、長安寺はまた花木にも恵まれた寺院である。
境内に入り参詣を続ける程、この寺院が見事な調和を保っている事に我々も気づくことだろう。