3番札所:大福寺(通称:瀧不動尊)

3番札所:大福寺(通称:瀧不動尊)

ご詠歌

人びとを 救いて守る 明王の 榛名の山も 近くなりけり

宗旨
天台宗
御本尊
大聖不動明王
住所
〒378-0017
群馬県高崎市中室田町5558

榛名山麓の御滝「独鈷泉」の寺院

沼田を後にして国道 号線を南下、草津街道に入り、榛名山の丁度南側に回り込むと高崎市室田町となる。
この付近は榛名山麓の丘陵地帯にあたり、自然環境はけっして穏やかではないが、それだけに信仰心の篤い土地柄と聞く。

鳥川に沿って、草津街道をさらに登ってゆくと大福寺・通称室田之瀧不動尊がある訳だが、その場所が特異である。
すなわち、草津街道・鳴沢バス停付近から急坂を下って鳥川のほとりまで足を進めないと、その堂宇は目にすることができないのだ。

崖の下にりんとして建つ不動堂をはじめ、境内の伽藍は厳しくも美しい。
我々巡礼も思わず見とれてしまうが、やがてこの寺院の境内に滝が落ちているのに気付く筈だ。

この滝こそ、御本尊・大聖不動明王と深いかかわりを持つ滝なのだ。

3番札所:大福寺(通称:瀧不動尊)

今より約1200年前、比叡山を開山した伝教大師(最澄)は東国を巡杖され、榛名山の古寺・舟尾山寺に立ち寄った。
大師はここで一体の不動明王を彫り、この地堂を建立、像を納めた。 仏前に水を供えようと呪文を唱え、持っていた「独鈷」(法具の一種)を岩に投げつけたところ、そこから清泉が噴出したというのだ。

大師曰く「滝に沐浴すれば総じて苦悩を洗い、去りて秘境の極に至ることこの清泉に勝るものなし」。
これより一名「独鈷泉」とも伝えられるという。

この滝の霊験は東国各近隣県に広く知られ、特に江戸時代以降、昨今に至るまで脳病平癒を願う人が後をたたないという。
このため、大福寺は通称『室田の瀧不動』として、より知られている。

ところで、大福寺のある高崎市室田町には、上州三名山のひとつ『榛名山』がある。
この山は、頂上付近に榛名湖や榛名温泉を、北東山麓に伊香保温泉郷などを持つ、名にしおう観光地。 こうした景勝を愛でながら、巡礼の旅を続けられる事はうれしい。

大福寺の周辺も、新緑や紅葉の季節には息を飲む程の景色が見られる。
秀岩山瀧水院大福寺。まさに秀麗この上ない寺院といえよう。

【巡礼ミニガイド】

お不動さんの最大の特徴といえば、やはりあの忿怒の形相でしょう。
多くの仏像・菩薩像がやさしいお顔をしている中で、あの姿は一際目をひきます。 実は、恐ろしげな容貌は一切の障害を打ち砕いて人々を悟りに導く強い意思を表したもので、その意味では形を変えた慈悲の姿と考えられるのです。